この週末2日、ほっとんど外出しておりました。
早朝より
自衛隊朝霞駐屯地見学→
自衛隊音楽まつり→テンション高い外人たちと西麻布の
BLACK ROSEというボンデージバー(?)へ
翌日は昼から
能楽堂へ→大宮で
鬼と鹿→自宅近くのダイニングバーへ小西酒造の方と...
というわけで何かしらないけどみっちり疲れてしまいました。上記ひとつひとつのことが面白いんだけどそれらを書く体力もなく、さらに生理直前、私は精神的にかな~り本当に落ちます。ですんで今日はたたみかけるようにちんたらと読書三昧。ところがちんたらというわけにいかなくなった。面白すぎて!



すべて
熊谷達也さんという作家の著作。10/22のエントリにも購入したことは書いてますが、ここで一気に読了。いやぁ~~~~~~素晴らしい!
隆慶一郎の作品をすべて読んでしまって以来、あれこれ読んでも何か埋まらないものがあり空白の時を過ごしてましたが、ここで一気に埋まりました。そもそも私は男臭い男の話が大好きで、という理由から女性作家の作品はほとんど読みません(男が男臭くないため)、といっても男くさい男を見事に描く作家さんは男でもそんなに多くありません。
『邂逅の森』の主人公はマタギです。数名で山に入り、熊を、シカを獲る。でもむやみやたらに金儲けに走るとかいうことは一切なく、熊を射止めるにしてもとても丁重に畏怖の心をもって挑みます。冬の山で極限状態になることでしか己の存在を確認できないという男汁系の男(自分で言ってて意味がわかりませんが)の話です。『MOONLIGHT MILE』も宇宙が舞台だけど極限状態にわざわざ自分を放り込む男汁系の男の話ですね。
こういう人たちのすごいところは本能と理性のバランス、だと思う。ものすごく
猪突猛進な性欲やら獣に向かう狩人の本能がある一方で、山の神への畏敬、獲物に対し、自然に対し欲をかきすぎるとよくないことが起こるということもきちんと分かっているという理性もものすごく働く。長い縄文時代を作った日本の原住民はきっとこういう人たちで社会を形成してたに違いないと勝手に妄想しています。
厳しい自然に対峙する話を読みすすむにつれ、ページをペリペリめくって高揚していくのと対照的に自分の生活やなにやら全部うすっぺらに思えてきてしまう。自分はきちんと生きているのか?という素朴な疑問で何だかテンション落ち気味。いや、話は最高なんだけど。
『漂泊の牙』、絶滅した(と言われている)ニホンオオカミをめぐる話。めぐるといっても、実際はやはり主人公を始めとする人間たちの関係が真ん中にある。これはちょっとミステリ仕立て。でもやっぱり主人公は男汁系。
この話を読んで、私は「赤ずきん」を恨んだよ!日本では狼はずっと本当に身近な動物で、山の神でもあったのに...。オオカミがいなくなったことでシカやイノシシが増えすぎて山の生態系も崩れていってしまっているとのことだけど、そういうことはどうして大きく伝えられないのでしょうか。
それにしても戦後に日本が失ったモノってほんっっっとに山ほどあるのですね。江戸にずっと興味を抱いて来た私ですが、東北の文化に重心が移るにつれ、その失われた加減が尋常じゃないことにさらに気づく今日この頃です。そもそも日本人=農耕民族とか誰が言いだしたのでしょうか、間違ってはいませんが、それはすべてじゃないし、日本文化を見る上でそれを前提にしてしまうと絶対何かを見誤る。

手前(木の下の方)は緑だけど、上は黄色で半々。
『山背郷』は短編集です。手軽に読めるのでオススメするのはやぶさかではありませんがやはり
『邂逅の森』!これを是非読んでいただきたいです。これから寒~くなるのでちょうど雰囲気出せそう。そしてどんなに寒くても、読了後になんだかヒュ~と冷たい空気に触れられたくなります。
で、熊谷達也氏の作品はまだまだあるんで、早速買い込み(クリックし)ました。
そういえば私が一番好きな
手塚治虫作品は
『シュマリ』であることをふと思い出しました。シュマリと『邂逅の森』の主人公富治、峯とイク、かつての女である妙と文枝は結構ダブります。果てしない大地とともに生きる男女の営みと北の厳しく優しく厳しい自然に乾杯。
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