『火怨~北の燿星アテルイ』高橋克彦著、読了。私は普段3カ所で本を読んでます。風呂場(文庫本のみ)、寝る前に寝室で、電車の中。常に読書はそれぞれの場所で1冊ずつ並行して進行している。
火怨は風呂場で読み進めていた。これは東北の蝦夷の民が大和朝廷軍に健気に抗って、最終的に数で負けてしまったという結末を知っていたので、なかなか読むスピードを上げられなかった。悲しい結末が待っているのがわかっていたから..。
高校生時、世界史を選択していたせいで、日本史は基礎的なことしか知らなかった。8cあたりの東北の歴史は「坂上田村麻呂」しか知らなかった。だけど、今夏、岩手に行き
鬼を知ったことで、鬼呼ばわりされていたのは誰?なぜ?という疑問を持ち、それが蝦夷の民だったことを知る。なんで鬼なのか?朝廷に簡単になびかなかったからである。言うことを聞かないからといって野蛮呼ばわり、人にあらず呼ばわりされたのだ。大陸から来た民族のどれだけ横暴だったか...、本当の鬼はどっちだよ?
日本に元々住んでいた蝦夷の民が自分たちの暮らしや家族を守るために戦うのは当然だ。たとえば今の憲法9条を世界遺産にとかバカなことを言ってる人間に、この誇り高き先住民のことは永遠に理解できないだろう。
蝦夷の民はそれでも、決してこちらから戦いを仕掛けることはしなかった。東北エリアで金が採れると聞いて征圧しようとしてきたのは朝廷側である。勝手過ぎ。欲にまみれすぎ。
蝦夷の民は、長であったアテルイは、別に戦などしたくなかった、ただ家族と民を守るため、少なくとも朝廷と平等に和議が出来ればいいという思いで守りぬいた。朝廷軍にくらべればだいぶ少ない数の兵で、20年も守りきった。かっこよすぎて、悲しすぎる。
最後までかっこよすぎなアテルイやその側近たち。これが先人たちの姿です。見習うべき点はゴマンとあります。そして体制に逆らう彼らこそ真のパンクス!
ここで勘違いしてはいけないのは、体制に逆らうだけではパンクスじゃないということだと思います。何でもとりあえずNo No言ってればいいと思う野党のような存在はパンクからほど遠いです。
平和ボケして、「他国に無理矢理攻められる」とか「知らず知らずに侵略される」ことなどあり得ないと思っている人のなんと多いこと。日本は歴史上、節目節目で侵略されています。弥生時代も元々はそうですね、蝦夷もそうでした、黒船然り、そして今もそう。外国人に優しくする前に、自国をきちんと国としてまずは固めるべきです。戦後、敗者である日本は他国人に犯されっぱなしですよ、怒!「火怨」のラストを読みながらそんなことを考えていたら、涙がとまりませんでした。サムライだけが日本男児ではない、と再確認。
まぁこんな小難しいことを考えずとも、すっごく平易な文章で書かれていて読みやすいですし、小説としてとても面白いです、読書の秋にいかがでしょうか、おすすめ。

秋の花。

もう1つ秋の花。

秋の実り、里芋。フグリっぽくて可愛い。
スポンサーサイト