金曜の夜は新橋にて高校時代からの友人たちと新年会。ほぼ忘年会で会ったばかりのメンツで代わり映えしないんだけど、何がどんだけ楽しかったのか、気づいたら朝の4時!うわああ。そういえば4軒くらい渡り歩いたし、でもどの時点でアルコールの沸点があったの?割と最初の方から酔っぱらったんだと思う。おかげでお昼に起きたらおっそろしいほどの頭痛。二日酔いです。こんな頭痛いのは久しぶりですよ。

まだ酔う前に撮った新橋の一角。良さげなお店たくさんあります。
でも土曜には3つも約束があったんで、痛い頭を抱えてしまったから洋服のつもりだったのが何か着物を着ろという天の声が聞こえたのでサササと(うそ、鈍い動きで)着替えてどうにか出かけました。途中で頭痛薬を買って。
3つの約束すべてが外人との約束でした。頭痛で日本語もままならないのに。
1つ目はフランスの新聞リベラシオンの記者さんと。彼が考えている企画で私の画を...というお話。こういうのはなかなか結実しないんだけどとりあえず実現したら面白そう。
2つ目は6~7年前に西麻布のBlack Roseというかっこいいお姉ちゃんがいっぱいいるバーで知り合いって以来友達になったアメリカ人のおっさんと。私が二日酔いで...と言ったら、彼も「朝3時まで呑んでて二日酔い」とのことでした。

大門にある
Tolman Galleryというギャラリーに行きました。ここは日本人のアーティストの画や版画を主に扱っているのですが、普通の日本邸宅をそのままギャラリーにしています。おばあちゃんち、みたいな感じで、廊下もギシギシ言うし、風情があり、顧客がほとんど外人というのもうなずけます。
ここで扱っている作家さんでシノダトウコさんという94才(だったかな?)のおばあさまの作品をたくさん拝見しました。
そして、ちょうど額装が終わったばかりという作品を見せていただいたのですが...
す、すごい!!
抽象画の良さ、って実は今まで全然わからなかったんです。浮世絵が好きというくらいですから、具象画にしか興味なかったんです。ところが初めて今日ショックを受けました。シノダさんの作品の圧倒的な強さに完全に飲み込まれてしまったのです。
写真に撮ったりもしましたがそれだと伝えられないと思い控えます。
作品は2枚で対になっているもの。縦は私の身長くらい。金とフレームの中に金地の、銀のフレームの中に銀地の作品がはめられていました。そこに描かれていたのはたった3本の墨の深い漆黒の線と別の1色の線のみ。
ほぼ余白ながらも黒い線は本当に力強く
確か。
恐ろしく静かでありながら、エネルギーに満ちた作品でした。
この画に見合う財と家をお持ちの方っていうのがいるんですねぇ。この金銀の作品は飛行機に乗ってロンドンの顧客のところに行くそうです。一緒に行ったオッサンもシノダさんの作品をお持ちだそうで。「日本人は日本人のアートの良さがなぜかわかってない」という台詞を何度も聞きました。
とはいえ、日本のお家では絵を飾る習慣は無くても、たとえば庭に咲いた花を生けてみたりとか、トイレにも小さい一輪挿しがおいてあったり、道路の脇にも植木鉢をおいてみたりとか、どんなに狭い場所でも自然を愛でる習慣があって、それはとても美しいと思うのですよ。私の親も絵には無頓着ですが、玄関の花は忙しくてもいつも生けてある。
そして浮世絵から始まりマンガにいたる印刷物の底の厚さというのはハンパないと思うのです。
画家にとっては外人相手の方が...という部分はあるのでしょうし、前は私も「日本で絵を売るのは難しい」というのを聞いて「ダメじゃ~ん」くらいに思ってましたが、最近は「それが日本ですからねぇ」と思うようになりました。
とはいえ、このような古い家をそのまま大都会のビル群の中にきちっと残しておく努力をしてくれてたりする外人は少し見習わなくてはいけないなとも思います。我々日本人はあって当たり前~という感じでなかなかね、自分たちの価値に気づきにくいのです。
でもって翻ってツバキ自身はどこにどう向かうのか?こんなことも考えさせられたりして、頭痛で脳の働きが鈍かったというのに。
そういえばご高齢の作家さんといえばつい最近、片岡球子さんが103才でお亡くなりになりました。恐ろしくパワーのある作品を描かれていた方です。ご冥福をお祈りします。
さて3つ目はイタリア人ととある彫り師の方の誕生日を祝う会にお邪魔するので人形町へ。

う、うつくしい!和彫りの美しさを目の当たりにし、頭痛もどこへやら。ホンモノの桜吹雪の美しさは尋常ではありませんでした。

勝手にこのように写真を掲載してよいのかわからないのでトリミングして一部だけにしてあります。本当はもっとたくさん撮らせていただきました。見て下さい、これはまだ仕上がっていない筋だけだというのに、すでに男汁炸裂。

顔ぼかしたら余計怪しい写真になりましたが、良いのか悪いのかわからなかったので一応。左が友達。右は今回お世話になった方です。本当にありがとうございました。
全身にびっちり刺青が入った男衆がずらっと並んだ景色は圧巻でした。
浮世絵にも鳶や火消しなどが刺青を全身に入れてる様子が描かれたものが多くありますが、こんな感じだったんでしょうか。
これぞ彫り物の極地!音楽やってる友達などが絵をいれてるのはいろいろ見てまいりましたが、なんというか、それとはまた違う。やはりこの和彫りをビチっと入れるには男としての覚悟などなど、必要なものがたくさんあるんだろうなぁと。すごい。入れてる人みんなかっこいい!
入れ墨にしても着物にしても、なんであっても日本文化の仕事って本当に細かい。そして作る側と手にする側双方に根気がいります。着物は作る過程はもちろん、着る方も洋服よりは手入れなどややこしいですよね、楽しいけど。
入れ墨は入れる彫師さんの根気ももちろん、彫られる方の方も数年かけて通い、痛みに堪えて自分の作品を得るわけです。はぁ~(ため息)。
アルコールでふやけた脳に眼福。衝撃を2ついただき、刺激のあった良い日でした。
長くなっちゃいましたね、最後まで読んでくれてありがとう。